2018年7月12日 (木)

2018年4月度月例会参加レポート

4月度月例会の参加レポートを掲載いたします。月例会の雰囲気を感じていただければ幸いです。 
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4月度月例会は、遠藤尚彦さん進行による「みんな昔は新入会員だった ―― 自己紹介例会 第4弾」でした。
今回のお題は、「① 私をホームズファンにしたこの1冊」「② JSHC会員としての今年の目標」「③ あなたが考える、「石川県と関連するシャーロック・ホームズ物語」は何ですか?」の3つでした。事前の予想としては恐らく①に集中するだろうと思っていたのですが、思いのほか③も多く、参加した方々はしっかりと準備してきたことがうかがえました。

①の「私をホームズファンにしたこの1冊」では、最初に出会ったホームズ物語を紹介する方と、小林さん・東山さんの研究書を挙げる方の2種類に分かれました。
前者では、ポプラ社の山中峯太郎訳や阿部知二訳、偕成社、講談社青い鳥文庫などが、後者ではパシフィカ/西武タイムの『名探偵読本』、グールドの『ガス燈に浮かぶその生涯』、『ガス燈に浮かぶSH』などが紹介されました。お二人の本を読んでホームズクラブに入会した方はやはり多く、改めてお二人の偉大さと、日本人シャーロッキアンの拡大に果たした役割の大きさを実感しました。

②の「ホームズクラブ会員としての今年の目標」では、「正典をすべて読み返す」「しっかりとした研究を行う」「ホームズについてのブログを充実させる」「月例会に毎月参加してお友達を100人つくる」「○○さんに月例会で発表してもらう」などなど、数々の野心的な目標が発表されました。月例会は会員の皆様の研究発表の場でもあります。最近入会した方で「何か発表したい」という方がいらっしゃいましたら是非月例会執行部にご連絡を!

③に関しては「自己紹介」と呼ぶのが適切かどうかよく分かりませんが、一見何の関係もなさそうな石川県とホームズについて、よくもまあそんなこじつけ、じゃなくて意想外の着想を思いつくものだ、と感心させられるものばかりでした(シャーロッキアンに必要なのは「力技」)。石川大会で同じ内容の発表を予定している若林孝彦さんもかなり参考になった様子でした。

今回の自己紹介例会は、お試しの方も含めると参加者は50名という大人数だったため、2回転目の途中で時間切れとなりました。ホームズクラブは別名「自己紹介クラブ」と言われるとおり、会員の方は自己紹介がお好きな方が多いようなので、月例会執行部としては、来年以降もこの企画を続けていきたいと思っています。

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2018年6月23日 (土)

2018年7月度月例会のお知らせ

7月度月例会は、長沼本紹介企画、題して「長沼本Royal Rumble」です。

長沼弘毅による日本初の本格的ホームズ研究書『シャーロック・ホームズの知恵』が出版されたのは1961年のこと。以後15年に亘り出版された全9冊の研究書は、シャーロッキアンの間では「長沼本」と呼ばれています。一時期はシャーロッキアンのマストアイテムでしたが、それも今は昔。古本屋での値段も下がり、今では大会のオークションで手が上がらないこともあります。

しかし、このまま長沼本を忘れ去ってしまってよいのでしょうか。1999年のJSHC特別配布物『実用シャーロッキアナ便覧』で、小林司さんは『シャーロック・ホームズの知恵』について、「現在であれば、ここに書いてあることは、どんなシャーロッキアンでも知っているごく基礎的な知識が並べてある」と書かれています。そうです、長沼本はシャーロッキアンの基本なのです!

とはいえ、長沼本を知らない新しいシャーロッキアンも増えていますし、昔読んだベテラン会員はどうせ内容なんて覚えちゃいないでしょう。そこで、長沼本には一体どういうことが書かれているのか、9人の方に1冊ずつ5分以内で紹介していただく、いわゆるビブリオバトル的な企画を行うことといたしました。ただし、ビブリオバトルは口頭での紹介のみですが、今回の「長沼本Royal Rumble」は、プレゼンソフトを使ったり資料を配布するのもOKの“何でもあり”ルールです。

長沼本に関する知識を得たい方、シャーロッキアンによるロイヤルランブル戦に興味のある方は是非ご参加ください。会員以外の方のお試し参加も大歓迎です。

なお、参加ご希望の非会員の方は、月例会執行部宛にメール(jshctokyoreikai@gmail.com)にてご連絡下さい (会員の方は事前連絡不要です)。

【日時】2018年7月8日(日)開場13時、開始13時30分~
【会場】アトラスタワー茗荷谷 3F 会議室
【交通】東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅下車
【内容】「長沼本Royal Rumble」
【会費】 300円

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2018年6月 5日 (火)

2018年2月度月例会参加レポート

2月度月例会の参加レポートを小高茂さんにお送りいただきました。月例会の雰囲気を感じていただければ幸いです。 
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罪悪感を抱きつつもお休みが多く、月例会栄光の歴史に一人黙々と大空白時代を刻むシゲルソンの端くれの私ですが、若林孝彦さん主催のリアル宝探しゲーム「ボルジア家の黒真珠を探せ!」が開催されるということで久々に2月11日の月例会に参加させていただきました。今回で5回目になるこのゲーム、今までとの違いはホームズ&ワトソンのヴィクトリア朝時代ではなく主人公がシャーロック&ジョンの現代が舞台ということです。

グループ対抗で行われるこのゲームに先立ち、まずはグループ分けが行われ、私は新井清司さんをリーダーとする221Bならぬ結成日@2.11Bグループに配属されました。そしておまちかねの問題文が配られると参加者全員が心の中で”The game is afoot!”と叫び、食い入るように読みはじめました。

ロンドンで3件、ダートムアで1件ひき逃げによる連続殺人事件があり、そこに残された手がかりをもとにボルジア家の黒真珠が隠されている場所を探しあてるというのが今回のゲームのルールです。しかしながら、数分間で確信したことは「難しすぎてわからない」。私の場合、ロンドンの地図を用意するのが有用とのことなのでロンドンで発生した3つの事件の場所を地図上で結んで三角形にして、その中心にヒントがあるのではと探してはみたものの検討違い。時間だけが過ぎ、あせりの色が濃くなってきたところで、若林さんからヒントが記載されたプリントが配布されました。

そのプリントの最後の一文を読んだ瞬間、頭の中である考えが閃き、原点回帰で問題文の最後の一文を確認したこところで思いました。「隠し場所、わかっちゃったかも。」
その後、閃いた考えを正典で確認して自信が確信に変わりました。結果的には大正解!だったのですが、その隠し場所にたどり着いた推理の過程(問題文で示された事件に共通点があるようでその共通点が見つかればクリアできることが判明)が説明できないとクリアとは認められないのがこのゲーム。2.11Bグループメンバーに推理を話し、今度は解答までの過程をメンバー全員で考えましたが、そこからが大苦戦。

そうこうしているうちにクリアするグループも出てきてあせりと疲れが見え始めました。共通点を見つけるためにグループメンバー全員、血眼になり事典やら正典やらをひっくり返し、出来たと意気込みつつ若林さんのところに答え合わせに赴いたところ、そこで言われた言葉は「考えすぎ」。どうやら我がグループの思考は出題者のはるか上をいってしまったようです。
結局、制限時間内ギリギリでのクリアとなり、結果としては芳しくないものになってしまいましたが、2.11Bグループ全員で協力しながら一つの目標に向かって長く濃密な時間を共有できたことは、早々とクリアして優越感に浸ることより意義があったのではと感じました。

その後、答え合わせの時間があり、今回のリアル宝探しゲームは終了しましたが、参加者からは次回の開催を強く希望する声が続出しました。私も同感で次回開催時には同じ2.11Bグループでリベンジを目論み、早々とクリアして優越感に浸りたいと思っています(もう前言撤回です)。

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2018年2月度月例会イベント「ボルジア家の黒真珠を探せ!」解答編公開!

大変お待たせしました。2月度月例会のリアル宝探しゲーム「ボルジア家の黒真珠を探せ!第5回」、解答編を公開します!

【解 答 編】
「ホームズ、これはABCD殺人事件ということだろ。」 「ぜんぜん違うね。まず、オートバイ連続殺人事件の謎を解いてみよう。最初は、昨年8月に発 生したバックウォーター卿(Lord Backwater)のひき逃げ事件だ。事件はどこでおこった?」 「ぼくらの目の前だ。ベイカー街(Baker St.)だ。」

「次におこったのは? その次は? 最後におこったのは?」 「次は、去年の11月、ダートムア(Dartmoor)でおこったローモンド公爵(Duke of Lomond)の 事件だ。その次は、クリスマス前にマグヌッセン家のメイド、アガサ(Agatha)がアビー・ロード (Abbey Ro.)でひき殺された。最後は、一昨日の夜、パブ・シャーロック・ホームズがあるチャリ ング・クロス(Charing Cross)でキャルホウン船長(Cap. Calhoun)がひき殺された事件。BDAC 殺人事件?」

「ちょっと違うね。2番目におこったのは、ロング・ダウン(Long Down)の塚のそばで、枢密顧問 官のローモンド公爵が殺された事件だ。つまり、事件はB・L・A・Cの順番におこったんだ。」 「そうか、わかったぞ! ブラック・ピーターってことか。」 「そのとおり。そして、もうひとつの方法、探しているものを探せだ。」 「問題の中で、探されているものを並べてみるよ。パソコン、%、巡査(police constable)、 パトロール・カー、枢密顧問官(privy councilor)、封筒?」 「つまり「PC」を探せということだ。」

「でも、封筒は?」 「封筒にも「PC」と書いてあったのさ。「PC」のイニシャルといえば?」 「そうか、ピーター・ケアリ船長だ! パトリック・ケアンズも「PC」だ。」 「そして、黒真珠がはいっていた封筒は封緘(seal=あざらし)されていて、中には一つまみの強い 刻み煙草が入っていた。これで隠し場所はわかっただろ。」


正解:光文社文庫『生還』「ブラック・ピーター」P.238/244 等 新潮文庫『帰還』「黒ピーター」P.169/175 等 の「PC」(パトリック・ケアンズ)のイニシャルが書かれたあざらし皮(sealskin)の煙草入れの中

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2017年2月度月例会イベント「ボルジア家の黒真珠を探せ!」解答編公開!

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2018年5月24日 (木)

2018年6月度月例会のお知らせ

2018年6月のJSHC月例会は、渡辺峯樹さんによる「時計塔」に関する発表です。

時計塔は14世紀にヨーロッパの各都市で造られ始め、音で聞ける時計として普及したそうです。17世紀になると、家庭用の時計や懐中時計が上流社会に普及しましたが、時計塔は庶民にとって重要な時を知る手段でした。

正典では、時計塔は6作品に登場するそうです。1つはビッグベンですが、その他の5つは全て教会の時計塔です。その5つの教会を正典の記述内容から推定されたとのこと。

時計塔に興味のある方もない方も是非ご参加ください。会員以外の方のお試し参加も大歓迎です。

なお、参加ご希望の非会員の方は、月例会執行部宛にメール(jshctokyoreikai@gmail.com)にてご連絡下さい (会員の方は事前連絡不要です)。

【日時】2018年6月10日(日)開場13時、開始13時30分~
【会場】アトラスタワー茗荷谷 3F 会議室
【交通】東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅下車
【発表】渡辺峯樹さん
【内容】『時計塔について』
【会費】 300円

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2018年5月 1日 (火)

2018年2月度月例会イベント「ボルジア家の黒真珠を探せ!」(ヒント編)

2月の月例会で行ったリアル宝探しゲーム「ボルジア家の黒真珠を探せ!」、すっかり間が空いてしまいましたが、ヒントを公開します。

【ヒント編】
「シャーロック、ヒントをくれないか」
「ボルジア家の黒真珠を探すルートは2つある。
ひとつは、連続殺人事件の謎を解く方法。
もうひとつは、探しているものを探す方法だね。」 「探しているものを探す? いったいどういうことだ?」 「問題をよーく読むしかないね。辞書の力を借りるのもよいかもしれない。
あー、あと普段使わないような難しい言葉は要チェックだな。 いずれにしても、最後はある海の動物がポイントになるね。」

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傾向と対策・ルールおよび問題はこちらです。もう暫くしたら解答編を公開します。

【傾向と対策・ルール編】
http://jshctokyoreikai.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/201825-3725.html

【問題編】
http://jshctokyoreikai.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/20182-5-ca1a.html

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2018年4月21日 (土)

2018年5月度月例会のお知らせ

2018年5月のJSHC月例会は、中藤二郎さんによる、短編集のエピソードに関する発表です。
皆さんは、どの短編集にどのエピソードが入っているか、完璧に覚えていますか?私は覚えていません!何なら60編全て言えるかどうかも自信ありません!

実は中藤さんからはあまり詳しい内容を伺っていないので、私自身も興味津々です(少なくとも、知識を問うような内容でないことは確認していますのでご安心を)。
「レディ・フランシス・カーファックスの失踪」がどの短編集に収録されているか分かる人も分からない人も是非ご参加ください。会員以外の方のお試し参加も大歓迎です。

なお、参加ご希望の非会員の方は、月例会執行部宛にメール(jshctokyoreikai@gmail.com)にてご連絡下さい (会員の方は事前連絡不要です)。

【日 時】2018年5月13日(日)開場13時、開始13時30分~
【会 場】アトラスタワー茗荷谷 3F 会議室
【交 通】東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅下車
【発表者】中藤二郎さん
【内 容】「短編集のエピソードについて」
【会 費】 300円

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2018年3月28日 (水)

2018年4月度月例会のお知らせ

2018年4月のJSHC月例会は、恒例の自己紹介例会です。今年のお題は次の3つです。

① 私をホームズファンにしたこの1冊
 ホームズ関連書籍は星の数ほどありますが、誰にもきっと特別な1冊があるはずです。この正典作品を読んだからホームズが好きになった、ジェレミー・ブレットの美しさにハートを打ち抜かれ、気付いたらJSHCに入会してしまった、このホームズ研究書に衝撃を受けて自分も研究をしたくなった、などなど、自分をホームズの世界に導いた本や映像作品を紹介してください。そして、もし可能であればその現物をお持ちいただき、他の参加者にお見せください。それにまつわる何か面白いうんちくが聞けるかもしれません。

② JSHC会員としての今年の目標(数か年計画の目標でも構いません)
 新入会員の方は新人らしく、会員歴の長い方は新人に戻った気持ちで、是非新たな目標を掲げてみてください。
 例えば、4月を含めて3回以上月例会に参加する/月例会に参加するたび誰か自分にとって新しい会員の方とお話をしてみる/初めて全国大会に参加してみる
月例会の企画を提案してみる、お手伝いをしてみる、などなど、JSHCの活動に関することならどんな些細なことでも構いません。
 なお新人の皆さん、年末に目標を達成したかどうかの確認をすることはありませんのでご安心ください。目標はあくまでも目標に過ぎません。達成できなくても「できないから月例会に参加できなくなる」ことはありません。困ったときは、何年後かに達成できればラッキーと考え、目標を達成するために必要なお友達や先輩を探すところから始めましょう。そのためには、「月例会や他のJSHCイベントにもできるだけ参加する」のが目標になるかも?

③ あなたが考える、「石川県と関連するシャーロック・ホームズ物語」は何ですか?
 去年の「鳥取県と関連するホームズ物語」に続く第2弾です。今秋の全国大会は石川県和倉温泉(七尾市)で開催されるので、石川県や金沢、名産物、和倉温泉等々と、正典やホームズとの関係を考えて紹介してください。 ユニークな説をお待ちしてます。

参加者の皆さんには、あらかじめこの3つの内から1つ(か2つ)お題を選んできていただき、それについて2分間、お話していただきます。是非皆様、自己紹介のネタを2分以内で仕込んでご参加下さい。会員以外の方のお試し参加も大歓迎です(その場合は、普通に自己紹介していただければ結構です)。
なお、参加ご希望の非会員の方は、月例会執行部宛にメール(jshctokyoreikai@gmail.com)にてご連絡下さい (会員の方は事前連絡不要です)。

【日 時】2018年4月8日(日)開場13時、開始13時30分~
【会 場】アトラスタワー茗荷谷 3F 会議室
【交 通】東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅下車
【内 容】「みんな昔は新入会員だった ―― 自己紹介例会 第4弾」
【進行役】遠藤尚彦さん(予定)
【会 費】 300円

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2018年3月19日 (月)

2018年2月度月例会イベント「ボルジア家の黒真珠を探せ! 第5回」公開!(問題編)

【問 題 編】
「ジョン、ぼくのパソコンをどこに隠した?」
シャーロック・ホームズは、レストレイド警部の使いだという若い金髪の(可愛い)婦人警官が持ってきた資料フ ァイルを手にしながら、まるで私に責任があるかのように尋ねた。
「隠してなんかいないよ。そこのくしゃくしゃにしたタイムズの下にあるだろ。」
その後、ホームズはしばらくパソコンで何やら作業をしていたが、また私に対してお尋ねがあった。
「ジョン、パーセントのキーはどこにあるんだ?」
「シフト・キーを押しながら5を押す。」私は、いささかむっとして答えた。
ホームズはひとことの礼もいわず、さらに作業を続けていたが、
「ジョン、どうやら連続殺人事件のようだ。」と低い声でつぶやいた。
「去年、マグヌッセン家のメイドが横断歩道でオートバイにひき逃げされて死んだのを覚えているかい?」
「セント・ジョンズ・ウッド駅の近くの例の横断歩道だろ。大量の七面鳥の大きな包みを抱えて、前がよく見えなかったんじゃなかったっけ?」
「そのとおり。では、半年ほど前、バックウォーター卿がオートバイにひき逃げされて死んだのは覚えてるよな?」
「忘れるわけがないだろ。8 月の暑い日だったよな。窓が開けっぱなしだったから、ドスンという音が聞こえて、野次馬が大騒ぎして巡査を探しまわるは、その巡査はパトロール・カーを探しまわるは、救急車はワンワンうるさいし、 大変な騒ぎだった。」
「そして一昨日の夜、有難くも名探偵の名前を冠したパブのすぐそばで、ローン・スター号のジェイムズ・キャルホウン船長が同じようにひき殺された。」
「キャルホウン船長? いったい誰だっけ? レストレイドが知らせてきたのはその件だね?」 「それだけじゃない。もう1件、同じようなオートバイによるひき逃げがあったことがわかった。」
「ということはただの事故ではなく、殺人事件だってこと? もう1件というのは?」
「レストレイドの報告書によれば、昨年 11 月 21 日、ダートムアにあるロング・ダウンの塚のそばで、枢密顧問官で著名な考古学者のローモンド公爵がオートバイに跳ね飛ばされて死んだ事件も、一連の事件のひとつらしい。しかも、目撃したのがあのモーティマー先生で、死体がなかなか見つからず、草むらを探しまわったと書いてあるな。」
「連続殺人事件だという証拠でもあるのかい?」
「まず、死体に付着していた微量の黒い塗料がすべて同一のもので、トライアンフのサンダーバード・ストームという車種、色はジェットブラック、だそうだ。タイヤ痕、遺体についた打撲や傷の位置、目撃者の証言や監視カメラの映像などをもとに、同一犯によるひき逃げ殺人事件と断定した、とある。犯人は、身長170センチ前後、中肉中背、 ヘルメットを被って、黒いつなぎの作業着、年齢、性別、人相等は一切不明。国内の同一車種をすべてあたったが、該当する車両は発見できなかった、と書いてある。」
「被害者に共通点はないの?」 「バックウォーター卿とローモンド公爵は面識はなかったようだ。船長は水夫からのたたき上げ、メイドは労働者階級だ。4人に共通する点はイギリ ス国籍というくらいかな。性別、年齢、住所もまちまち、事件があった場所も3件はロンドン市内だが、1件は遠く離れた場所だ。」
そう言って、ホームズはレストレイドの報告書を放ってよこした。 「一昨日の事件には犯人の遺留品がある。警察が現場を探しまわって発見したのが、封緘されたごくありふれた封 筒。封筒を開けてみると、なんと中から素晴らしく上質な黒い真珠と一つまみの強い刻み煙草がでてきたそうだ。」
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