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2015年1月13日 (火)

ホームズクラブの活動について(会報・会誌編)

ホームズクラブの会報には、毎月発行される「ベイカー街通信」(BS通信)と、年1回発行される『ホームズの世界』があります。
BS通信には、ホームズ関連の書籍やDVDなどの発売情報、映画やテレビの放送予定、各種イベント(先日の早川書房パブシャーロック・ホームズや、NHKスタジオパークのシャーロックホームズ展など)の情報、クラブ公式イベント(全国大会、セミナーなど)の参加者募集といった情報が掲載されています。
正直言って、最近ではネット上に情報があふれているので、大部分がネットで調べれば知ることができる情報だと思います(ネットニュースと新聞・雑誌の関係のようなものです)。とはいえ、ホームズ関連の情報が網羅されている媒体としては国内有数であることは間違いなく、特に年1回掲載される、その年の日本シャーロック・ホームズ大賞の候補作は、国内の書籍や映像関係のデータベースとして、非常に有用です。何せリストを作成しているのがホームズ書誌学の第一人者新井清司さん(この度めでたくアメリカのベイカー・ストリート・イレギュラーズの正会員になられました!)ですから。
そして何より、このご時世に「毎月郵送で会報が届く」のいうのは、郵便制度が確立したヴィクトリア朝期に活躍し、自身も郵便や電報を積極的に活用したホームズの愛好団体に相応しいのではないかと思います。

記念すべきBS通信第1号(1977年11月号)。当時は現在に比べると著作権への意識がちょっと甘く、右上に今では問題になりそうなイラストが載っていたので、モザイク処理をしています(笑)。
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一方『ホームズの世界』は、ホームズクラブ会員の研究成果(というと大げさですが)として投稿された原稿ををまとめたものです。内容は、いわゆるシャーロッキアーナ(ホームズ研究)、パロディやイラストなどの創作、イギリス旅行記といった自由投稿部門と、その年のクラブの活動報告、全国大会やセミナーのレポートなどの資料部門があります。ホームズ研究書は最近あまり出版されていませんので、シャーロッキアーナに興味のある人にとっては貴重な資料です。また、自分の興味あるテーマについて研究しようとした場合、過去の『ホームズの世界』を調べてみると、既に発表されているというケースが結構あります。独りよがりにならないためにも、『ホームズの世界』で先行研究を確認するのは重要です(クラブ内には、『ホームズの世界』以外にも研究論文集を定期的に発行している集まりもあるので、『ホームズの世界』だけでは不十分ですが、最低限のチェックにはなります)。
ホームズクラブに入会すると、その年の『ホームズの世界』だけでなく、バックナンバーも購入が可能です(一部在庫切れの号あり)。

昨年の『ホームズの世界』(第37号)。
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その他、特別配布物(通称「おまけ本」)が発行される年もあります(毎年ではありません)。ホームズクラブ会員の共同研究をまとめたものが多く、『《シャーロック・ホームズ物語》(新潮文庫)固有名詞索引』『《シャーロック・ホームズ物語》(新潮文庫)人名索引』 『ホームズ、ドイル文献目録』『〈ホームズ物語〉名前の事典』など、ホームズ研究を進めるのに非常に便利で、しかも市販の研究書には載っていないデータが収録されている資料が数多くあります。

1983年の『固有名詞索引』と、その翌年の『人名索引』(ホームズクラブ発足時点で『事件簿』まで翻訳されていたのは新潮文庫くらいだったので、新潮文庫をベースにしたものがどうしても多くなります)。
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中でも『シャーロック・ホームズ言葉のデータ集』と 『実用シャーロッキアナ便覧』は(筆者が編集メンバーの一員だったというひいき目もありますが)シャーロッキアン必携の資料集といっても過言ではありません。
『言葉のデータ集』は、新潮文庫版全集から「地位・職業」「企業・商売」「動物・植物」「小道具」「英国の地名」などのありとあらゆる「言葉」を抽出し、それがどの本のどのページに載っているかをまとめたものです。これがあれば、例えば「煙草」のうち「紙巻きタバコ」「かぎタバコ」「シャグ・タバコ」「パイプタバコ」「葉巻」はそれぞれ何回登場しているか、正典のどの作品に登場しているかが分かります。勿論原文の表記も併記されていて、索引も付いているので、「原文は同じ単語なのに翻訳が違う(あるいはその逆)」といった問題点も解消されています。こうした「シャーロッキアンの英知を結集した資料」を手に入れることができるのは、メリットの一つであると言えます。

『言葉のデータ集』の「煙草・パイプ」のページ。
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『実用シャーロッキアナ便覧』は、発行時点(1999年)までに日本で出版された全てのホームズ研究書の書誌情報と解題、感想をまとめたものです。長沼弘毅を始めとする初期のホームズ研究書は絶版のため入手が難しいのですが、そういった研究書にはどのようなテーマの研究が載っているかが分かります。2000年以降の研究書が載っていないのがつくづく残念ではありますが、ホームズ研究書のガイダンスとして最も優れた書籍の一つです。

『言葉のデータ集』と『実用シャーロッキアナ便覧』。
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今の世の中、ホームズクラブに入会しなくても、個人でインターネットを駆使すれば、かなりの情報を入手できますし、SNS等で研究成果を発表することができます。ただ上記のとおり、ホームズクラブにいないと入手できない資料があるのも事実です。また大体において、自分がやろうとしたことは、既に誰かがやっている(しかももっと優れた内容で)ということを知ることができます。そうした先人たちと直接コミュニケーションを取ることができるのが、ホームズクラブの良いところだと思っています。

「ホームズクラブに入会するためにはレポートの提出が必要」「入会時に試験が行われる」「会合では正典の科白で質問されるので、ちゃんと返さないといけない」などなど、ホームズクラブに対する誤解があるようなのですが、ここに挙げたようなことは一切行われていません。そもそも、正典60編を読んでいなくても入会は可能です。実際、昨年入会した20代の学生さんは、入会時点では全ての作品を読んでいませんでしたが、東京例会にも馴染んでくれたようで、早速仙台大会にも参加していました。ホームズに対する愛情さえあれば、知識は不問です。ホームズクラブに興味のある方、公式ホームページも漸く少しずつ機能しはじめたようですので、是非入会に向けて事務局にお問い合わせ下さい。

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