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2016年2月21日 (日)

2016年2月度東京例会イベント「ボルジア家の黒真珠を探せ! 第3回」公開!(問題編)

【問 題 編】
「想像してごらん、ホームズ。僕は、時空を超えたレストラン“シンプソンズ”の奥まった席に座って、一人ウィスキー・ソーダを飲みながら、3人の招待客たちが集まるのを待っていたんだ。」
その夜の晩餐会は、実在、架空を問わずホームズ物語に登場する人たちに集まってもらい、ワトソンが感謝の意を表するというのが表向きの趣旨でした。
約束の午後8時をやや過ぎて、漆黒のドレスをまとった美しい女性が姿を現しました。左右に分けた長い黒髪が驚くほど印象的で、左側の髪に赤や白の美しい花飾りが挿してあるのをワトソンはじっと見つめました。
「何か? ワトソンさん、本日はお招きありがとうございます。」彼女は、フランスなまりの英語で挨拶しました。
「こちらこそ、貴女のような美しく聡明な方とお会いできて光栄です。」と、ワトソンは握手をしながら答えました。
「どうもありがとう。でも、私は決してそんな女ではありませんのよ。聡明な女だったら、あんなに男で苦労はしませんわ。芸術家ってそんなものよ。」彼女は微笑みながら答えました。
次に現れたのは、高級だが古めかしい茶色の上着を着た、額の禿げあがった初老の男でした。
「昨日、連絡をくださったワトソンさんはあなたですな。」彼の英語には強いドイツなまりがありました。
「私もホームズも、あなたには本当に傾倒しているんです。」ワトソンが答えました。
「今宵の晩餐は文学者の集いといったところですかな。これは楽しみですな。」と男が言いました。
 三人は、極上のクラレットを飲みながら、時の経つのも忘れて、文学談義、芸術談義に花を咲かせました。
「芸術は長く、人生は短い、と言ったのは誰だったかしら?」と黒髪の女性。
「ヒポクラテスですよ。私は時々思うのですが、人間の真の偉大さを証明する第一のものは、自分自身が卑小であることを認識することにありますな。」初老の男が続けました。
 三人目の招待客がやってきたのは、若い給仕が名物のローストビーフのサービスを始めようとした時でした。
体格がよくてひたいの広いハンサムな男でした。
「僕を素通りしないでくださいよ。」男は流ちょうなフランス語とドイツ語と英語の三カ国語で挨拶をしました。
三人が驚いた表情をすると、男は恥ずかしそうに答えました。「こう見えても、私は数カ国語を話すんですよ。」
「君が執事をしていたとはだれも気がつかないだろう。」とワトソン。
「こちらはどなたかしら? 失礼ですけど有名な方ではないようね。女たらしには見えますけど。」
「これは手厳しい。いずれ、もう一回生れ変わって、皆さんと一緒に世界的な有名人になりますよ。」男は笑って答えました。
 四人の話題は、ふたたび文学談義、芸術談義へと戻っていきました。
「皆さんは、誰のために作品を書いていらっしゃるの?」と黒髪の女性。
「私は、ホームズ物語を楽しみにしてくれている読者のためですね。」とワトソン。
「私のお付き合いしていたピアニストは、私はただ一人の人に聞かせるために弾く、と言っていましたわ。」
「そういえば、君は楽器が得意だったね。」ワトソンは元執事に尋ねました。
「楽器はなんでもこなしますよ、将来は太鼓をたたくつもりですが。」男が答えました。
ワトソンから、本当の目的が切り出されたのは、食後のコーヒーが出された頃でした。
「皆さん、今晩集まっていだいたのには、実は別の理由があります。ボルジア家の黒真珠が行方不明になっているのはご存じでしょう。ホームズいわく、黒真珠の隠し場所は私たちの出身地で起った事件が係わっているのだそうです。ホームズは、警察が犯人を逮捕した時に、凶器なんか探さないで、黒真珠を捜していたら必ず見つかったはずだよ、というのですが。」

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