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2017年8月13日 (日)

2017年6月度月例会参加レポート

6月度月例会の参加レポートを安藤祥子さんにお送りいただきました。自己紹介例会の雰囲気を感じていただければ幸いです。 
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6月11日に開催された6月度月例会は、日暮雅通さん&北原尚彦さんによる「児童&YA向けホームズものについて語ろう」でした。
SNSなどで話題になっていたこともあり、当日は開場5分前で既に沢山の方で溢れていて用意された予備のパイプ椅子も全て無くなり、満員御礼のなかで始まりました。

はじめに“児童向け正典訳の歴史的変遷”ではもっとも古い資料として1901(明治34)年に女学生向けの雑誌『花あやめ(女学世界)』に掲載された「花嫁のゆくえ」が紹介され、会場からは納得の歓声が上がりました。
昭和初期には児童向けの全集にホームズ作品が収録されていたようで、貴重な資料が紹介される中、その時代ごとの特徴も様々あったとの事でした。
今年新たに生まれ変わった山中峯太郎版『名探偵ホームズ全集』のように児童向けにリライトされた作品が多かったようで、ホームズの相棒がウィギンズになったりワトソンがこどもになったりと…なかなか興味をそそられる内容のものが沢山ありました。
さらに雑誌の付録の中にもホームズ作品が含まれていることもあったのですが、付録は表紙にタイトルが書かれていないことが多いので把握するのが難しい…と北原さんならではのエピソードに会場から笑いが起こりました。
しかし、そうした現状を見直して偕成社のシリーズ辺りからきちんと翻訳されるようになったそうです。この頃の作品から学校の図書室などでお馴染みの表紙がスクリーンに出てきたので歓声がチラホラ…。
そして個人的にものすごく楽しみにしていた、青い鳥文庫のホームズも紹介していただき、興奮しながらも写真を撮らせていただきました。
最初の雑誌から116年経つ現在も『キラキラ名探偵』を始めとする新しい児童向けホームズも次々と発売され、ホームズの人気の高さを改めて実感しました。

201706_01
青い鳥文庫の紹介

休憩をはさみ解説を日暮さんに代わりまして“児童向けと大人向け、正典翻訳の違い”では児童書の翻訳ならではの様々な違いを紹介。
児童書は原則的に長い段落は無しで。文字も大きくなるのでページ数が増えてしまい、話を短くしなくてはいけないとの事。表記(ベイカー街→ベーカー街、〜son→〜ソン等)や表現の方法(頭のおかしいやつ→おかしなことを考えるやつ等)も厳しいので細かく手直しをしていたようで、同じく文字数の多い『チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン』や差別表現のある『唇のねじれた男』なども直すことがあるそうです。

201706_02
児童書翻訳時の注意事項

これらは出版社によって違いがあり、通常の翻訳よりも手間がかかることもあり児童書は大御所の翻訳が多いのだそうです。
普段から児童書に馴染みがあったので違和感なく読んでいたのですが、これから大人向けの訳を読むときは上記の違いを読み比べてみたいと思いました。

そして再び北原さんに代わり“児童向けと、ヤングアダルト向けパロディ(ラノベ含む)の昨今の広がり”では、海外の作品を訳したものと日本オリジナルのものを先ほどと同様に古い作品から順番に紹介していただきました。
パロディの種類は、
・なりきり系(名前が同じシャーロック少年が事件を捜査するなど)
・動物系(ネズミや犬のホームズ、面白いものではホームズのズボンが登場する作品もある)
・不正規隊系(ウィギンスなどが主人公でホームズが登場するものもある)
・身内系(ホームズの兄弟や子孫、YAは女の子のことが多い)
・ヤングホームズ系
・ファンタジー&ホラー系
・ゲームブック系
など、とても幅広く大人向けのパスティーシュやパロディとはまた違う楽しさがありとても興味深かったです。
途中北原さんの書かれた作品も紹介されて拍手が送られました。
今回のテーマとは離れますが、ホームズスタイル(インバネスコート&鹿討帽)の主人公が登場する児童書もたくさんあるので、子供達は知らない間にホームズに馴染んでいるのかと思うと…単純ですがホームズってすごいな、と感動してしまいました。
北原さんの紹介に続いて日暮さんによる“未訳の海外ヤングアダルト向けパロディの紹介”では未発表の作品と、日本で出版された本の原書との比較を解説。
日本で出版されたものの続編は未発表の作品がたくさんあるようで、続きが読みたいのに翻訳されないから読めないもどかしさがとても伝わってきました。
児童書は表紙のデザインがそのままのものが多いのですが、YAでは若者向けのデザインに変更されることがあるようです。
そして最後のスライドが紹介されると、盛大な拍手のなか両先生による素晴らしい発表が終了しました。
今回の月例会では貴重な資料を拝見できただけでなく、お二人の楽しそうなやり取りを間近で聞くことが出来て本当に楽しかったです。

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