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2019年10月 6日 (日)

2019年7月度月例会参加レポート

2019年7月度月例会の参加レポートを石原悦子さんにお送りいただきました。この時の発表は全てYouTubeにアップしていますので、合わせてリンクも掲載しています。月例会の雰囲気を感じていただければ幸いです。
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約二年ぶりの月例会参加ということでレポートを仰せつかった。
機材トラブルから先に情報交換やオークションが行われ、14:30より発表開始である。昨年11月の好評を受けての第二弾《シャーロッキアーナ小ネタ集》が今月のタイトルだ。コンパクトな発表をいくつか詰めこんだ濃縮企画。ここから化けるかもしれぬ発表もあってお得感満載である。

まずは執行部による開口一番『「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」について』。クラブに寄せられた“表記の中点(中黒)は不要ではないか”という疑問に答える発表だ。文部科学省『外来語の表記』(H3内閣告示)を皮切りに『読売新聞 用字用語の手引き』(2017)、『記者ハンドブック 新聞用語用例集』(2016)など複数の用字用語集に記載されたカタカナ複合語および中点に関する記述を引き、また実在の例による中点の有無やコーパス『中納言』の検索結果など。さまざまなアプローチから「カタカナ複合語と中点に関して確たる規則や取決めはない」ことを確認し、統一表記としての『日本シャーロック・ホームズ・クラブ』には何の問題もないことを結論付けた。

「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」について


次は別所礼子さんの『ときには女子会気分でホームズを♡』。女子会の定番ネタらしい「パートナーなら?彼氏彼女としてなら?」をホームズ60編の登場人物の中から考えてみようという参加型発表だ。結婚と恋愛を別ものと考え、家庭環境(家庭的vsクール)金銭感覚(堅実vs浪費)など8項目のフォーマットに人物を当てはめていく。たとえばパートナーなら「ゴドフリー・ノートン」彼氏なら「ブレッキンリッジ」に複数の項目でチェックが入る。こうして人物像メインで読み返すと、新たな発見もあっておもしろい。そして今回は女子会なので参加者たちも『1.最高のパートナーは?/2.つきあってみるなら?』を妄想して用紙に記入提出。この結果は9月の月例会にて発表される予定だ。意外とどちらもホームズは人気薄な予感が…はてさて?

<参加型>時には女子会気分でホームズを♡


休憩をはさんで森田直子さんの『「Ⅹ色の研究」の研究』。世に『~色の研究』という題名はどのくらいあるのか?と探し出された色が以下の通りである。《ピンク色・茶色・青色・藤色・宇宙色・血色・紫煙色・オレンジ色・黄色・朱色・すみれ色・夜空色・Ⅴ色・謎色・黒レース色・みやこ色・緑色・藍色・琥珀色・ばら色・海色・獅色・灰色・虹色》。いろいろだがミステリーともホームズとも無関係な作品も多い。これほど多く存在する理由は『緋色の研究』という題名の格好良さと『~色+研究』のテンプレートの優秀さにあると結論。今後は『Ⅹ髪連盟』や『バスカヴィルⅩのⅩ』などで探していくとのことで、どんな題名が見つかるか楽しみである。

「X色の研究」の研究


続いて中津留恵日さんによる『青いガーネットの豆』。多くの翻訳で見られるガーネットの大きさ「そら豆よりは少し小さいが」のそら豆について。日本のそら豆は「どの宝石にも大きすぎて符号しない」と専門家も考察(鉱物学者・奥山康子著『青いガーネットの秘密』)するほどのサイズだ。しかし偶然知った仏産そら豆は半分以下の小ささで、これならば違和感もない。しかし原文には“bean”としか書いておらず、英国でbeanといえばほぼインゲン豆のことらしい。そら豆は人気がなく、ヴィクトリア朝時代にいたっては一般的ですらなかった。だが日本ではS4年・菊池武一訳以降『そら豆』と記されることが多い。はたしてドイルはインゲン豆をイメージしたのか?なぜ日本の翻訳ではそら豆なのか?そら豆問題…今回の発表ではここまでだったが面白いので続報を待ちたい。

青いガーネットの豆


軽井沢セミナーが本編となる植草康浩さんの『モリアーティの骨 予告編…違うかも』。まずはイルカの話題からドイルが捕鯨船時代に描いたシャチなどのイラストを紹介。続いて話は『ブラックピーター』へ。ホームズが銛打ちの実験をブタで行ったことについて、人とブタの脂肪の厚さ・吊り下げた状態の不安定さ等を考えたら、ホームズの得た結果は不確実である。なぜ人の死体で(棒で叩いていた時のように)行わなかったのか?おそらくやりすぎて解剖室は出禁になったのだろうと結論。その後ご自宅の本棚と趣味の骨(本物)を公開。骨に関しては外部から鑑定依頼も来るほどで、一枚の写真から様々な条件を当てはめ『イシイルカ』であることを証明した。最近ある骨の鑑定依頼が持ち込まれたとのこと。その鑑定結果は軽井沢セミナーにて!(私は不参加なのでレポが楽しみだ)

モリアーティの骨 予告編…違うかも。 


6番目は北原尚彦さん『最近見つけた古いホームズ翻訳』。『シャーロック・ホームズの古典事件帖』の刊行後、新たに見つけた古い翻訳について。1.『英学新報』M36.4月号~『乞食紳士』…「唇のねじれた男」の翻訳。連載3号めにして掲載誌変更で以下調査中である。2.ポケット講談…T10.8月号『怪 怪 幽谷の秘密』樋口紅陽…「ボスコム谷の惨劇」で原文からの翻訳でなく加藤朝鳥の訳を流用している。3.成光館出版『シャアロック ホルムス物語』/5版6版7版ソフトカバー…この本のハードカバー版(S7年刊.11版)の存在がわかった。4.『新オベタイ・ブルブル事件』北村小松…『讀物と漫画 薫風號』収録。徳川夢声『オベタイ・ブルブル事件』の続編。十数年前に細谷正充氏の書評にて存在を知り、今回現物を確認できたとのこと。聴衆は細谷氏の図書館レベルの書庫の写真にかなりどよめく。5.加納一郎『火星の王冠』…『SFゲーム』収録。火星人探偵シャーロックが登場するロバート・アンダーソン『火星のダイヤモンド』のクイズ版だ。この本はたまたま発見したそうで、とりあえずなんでも開いてみなきゃわからないとのことで北原さんの探求は続く!

最近見つけた古いホームズ翻訳


最後は長浜真人さんの『事実確認の愉しみ』。筑摩書房『ホームズと推理小説の時代』中尾真理(2018.3月刊)に散見する間違った記述について。まずは名前や表記、ミステリー史の流れでおかしな部分などの訂正。次に作家に関しての事柄や説明において、記された情報が古いままであったり、あきらかな確認不足による誤認を指摘し解説が加えられた。いろいろあるがこの発表を聞いて思ったのは、何かを論ずる時の「情報の更新」と「目先の思い込みの排除」の大切さだ。自戒として心掛けていこう。

事実確認の愉しみ


以上で7つの発表が終了。ひとつの発表をじっくり聞くのも好きですが、今回はシャーロッキアンぶつかり稽古のようで。それぞれの個性とこだわりと情報量の多さに心身へとへとになったが、とても面白かった。

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